初心者には難しそうに思える部屋探しも、きちんとダンドリを踏んで動けば問題なし。注意しなくちゃいけない点、知っておきたい点も含めて、このマニュアルで予習してから部屋探しをスタートしよう!
物件の立地や広さ、設備・仕様などは、すべて家賃に影響する。「少しくらいならなんとかなる」と、軽い気持ちで高い部屋に決めてしまうと、後で困ることになるので注意したい。家賃を考える際には、手取り月収の3分の1を目安にしよう。
例えば、月収が手取りで18万円なら、家賃に回せるのは6万円まで。なお、アルバイト代やボーナスなどは計算に入れないこと。また、予算には毎月支払う必要がある管理費や駐車場代も含めて考えよう。
予算と同時に決めたいのは、入居予定日。不動産会社で最初に聞かれるので、いつまでに引越ししたいか期限を決めておこう。
間取りで2DKといったら、ダイニングキッチン(DK)のほかに居室が2部屋あるという意味。住戸の広さは、専有面積(m2で表記)で表示されることもあるが、これには水まわりや収納部分も含まれる(バルコニーは含まれない)。
平均的な間取りと専有面積の関係は、シングル向けのワンルームや1Kで20m2前後(居室が6~7畳)、2DKで40m2前後(DK、居室2部屋すべて6畳)、3DKで50m2以上(DKと居室2室が6畳、4.5畳の居室1室)。いずれも、家族構成や持ち物の量を考えて決めよう。
エリアは、通勤・通学にムリのない範囲で選ぶのが基本。決めるときは、「○○線の△△駅から□□駅の間」「○○駅まで30分で出られる駅」など、幅をもたせること。ひとつの駅やエリアに限定すると、選択肢が少なくなってしまう。
路線や駅を決めるときに覚えておきたいのは、都心に近づくほど家賃は高くなるということ。また、急行や特急が停まる駅なのか、各駅停車しか利用できない駅なのかも影響する。
次に、インターネットや情報誌で基本条件に合う物件があるか調べてみよう。
予算内で希望の物件が見つからなかったり、少ない場合は、相場に合っていない可能性がある。ほかの沿線や隣の駅、市区郡も候補に入れてみること。複数の路線が乗り入れているターミナル駅周辺やおしゃれな商業施設が立ち並ぶような人気の沿線・街も家賃は高い。
通勤・通学のいろいろなルートを考えて、少し離れるとおトクなエリアが見つかることもある。
続いて、さらに細かい条件を設定しよう。欲しい設備や立地条件など、思いつく限りの希望をリストアップしていこう。
家賃を左右する条件は、建物の種別、最寄駅からの距離、築年数だ。まず建物の種別では、マンションのほうがアパートより1万~2万円以上高くなる。次に最寄駅からの距離。徒歩15分以上あるいはバス便利用の物件は駅に近い物件より安く、駐車場付きも多い。最後に築年数。古くなればなるほど賃料は安くなる。築5年以内ではあまり変わらず、築6年以上から徐々に安くなり始めて、築10年以上になると差が出てくる。
ただし、古くてもリフォームで設備などが新しく充実している場合もあるので、一概には言えないので注意したい。
すべての希望をリストアップしたら、「絶対譲れない」「できれば」「あきらめてもいい」といった具合に、優先順位をつけておこう。
管理費、駐車場代なども含めて毎月支払える金額を決めておく。
通勤・通学を考えて設定。どこからどこまでと幅のある設定をしておくほうが早く見つかる。
使い方を考えて部屋数、広さを決める。キッチン、収納など特定の場所で広さの希望があれば同時に決めておく。初めての人は自分の荷物の量からどのくらいの広さが必要かを想定。
マンションかアパートか一戸建てかで、探す場所や家賃などが大きく異なるので必ず決めておくこと。
徒歩5分以内、10分前後、それより遠く、あるいはバス便でも可など具体的に設定しておく。
新築か、それ以外か。それ以外であれば築何年くらいまでか。築10年以上なら賃料が安い場合も。
必ず決めておきたいのは駐車場の有無、部屋の階数(1階かそれ以外でも可か、特定の設備の有無(エアコン、シテテムキッチン)などの条件。また、環境、間取りでこだわりたい点、自分にとって譲れない点なども挙げておく。
また、条件に優先順位つけておくと迷わないで済む。
条件の整理ができたら、次は不動産会社訪問。希望にぴったり合う物件が見つかったらそれを扱っている会社、見つからない場合は希望に近い物件を扱う会社を2~3社選び、メールや電話で連絡を。空室確認や訪問の予約をしよう。
不動産会社は、エリアや間取りタイプなど、得意とする分野がある程度決まっているケースが多い。どんな会社に行けばいいのか迷ったら、住みたい駅やエリアで希望の間取りの物件を多く取り扱っている会社に連絡してみよう。
不動産会社に行ったら、所定のアンケートシートに名前や連絡先、入居時期、主な希望条件などを記入するのが一般的。その後、条件に近い物件の資料を出してもらい、見学する物件を決める。営業担当者からのアドバイスにも耳を傾けつつ候補を絞り込み、実際に見学する部屋を選び出そう。
一度にあまりたくさん見学しても混乱するだけなので、1日3件を目安にするといい。物件資料から多くの情報を読み取って、効率よく見学する物件を絞り込もう。
見学前に間取図を見ている場合が多いが、天井の高さや柱の出っ張り、梁の有無、壁の色、日当たりなどで感じる広さは、間取図の印象と異なることがある。
例えば、間取図から収納の有無はわかっても、奥行きや高さはわからない。コンセントの位置や数、設備の種類なども同様だ。室内の見学時には、これらの点を忘れずに自分の目で見て、確認しておきたい。
気に入った部屋では、メジャーで窓の高さや収納の奥行きなどを採寸して間取図に書き込んでおくと、インテリアの配置を考える際に役立つ。室内に防水パン(洗濯機を置く皿状の受け台)がある場合は、この大きさによって使える洗濯機が変わるので、必ずサイズを確認しよう。
見学までに時間がある場合は、前もって手持ちの家具のサイズを測っておき、現地で入るかどうかを確認するという手もある。
見学中に気になる点があったら、必ずその場で不動産会社の担当者に確認を。例えば床・壁などの汚れやキズ、扉の立て付けが悪いなどの不具合があれば、直してもらえるのか、いつまでにリフォームするのかなど、見つけた時点で質問しよう。
室内のチェックが終わったら、次は共用部分。共用廊下や階段、エレベーター、エントランスは、きれいに清掃されているかどうか、明るい雰囲気かどうかチェックを。
自転車置き場は、敷地内にあるかどうかだけでなく、自分が置く場所を確保できるか、利用料はかかるのかも重要なチェックポイントだ。
ゴミ置き場は、どこにあり、いつゴミ出しできるかを確認。すでに入居者がいる物件なら、清潔に使われているかや、きちんと管理されているかも見ておきたい。
不動産会社の担当者が見学に同行する場合、車で連れていってもらうことが多いが、現地では自分の足でも歩いてみること。最寄駅からの所要時間や駅前の雰囲気、コンビニやスーパーの場所など、歩いてみなければわからない点も多い。女性の一人暮らしで、夜遅くの帰宅が考えられる場合には、防犯面も考えながら歩いてみよう。
また、夜と昼、平日と休日では周辺の雰囲気、交通量、騒音も大きく異なる。可能なら、周辺だけでも2回見学したいところ。特に、夜間に見学に行った場合には、昼間にもチェックするほうがよい。
納得できる住みたい部屋が決まったら、できるだけ早めに不動産会社へ連絡し、申し込み・契約の手続きへ。
必要な書類やお金は、事前にチェックして、漏れなくそろえておこう。
「ここに住みたい!」と思える物件が見つかったら、なるべく早く不動産会社に連絡し、申し込みの手続きを。不動産会社所定の申込書に必要事項を記入して提出する。記入事項は不動産会社や物件によって異なるが、自分の連絡先や勤務先、年収などに加えて、連帯保証人のプロフィールが必要な場合が多い。
この連帯保証人とは、入居者が家賃を滞納した場合などに代わりに責任を取る人のこと。提携している保証会社でもいいという不動産会社もあるが、入居希望者が自分で連帯保証人を見つけるのが一般的。連帯保証人は、早めに決めておこう。
また、申し込みの際に「申込金」が必要なこともあるが、これは、契約する・しないにかかわらず必ず返還されるべきもの。支払う際には、「申込金は契約までの間、一時的に預けるだけの費用であること」「その預かり期間はいつまで」を明記した預かり証を発行してもらおう。
この後、家賃の支払い能力を審査して契約へと進む。入居審査は、収入に対して家賃額が適当であればクリアでき、早ければ2~3日後に結果が出る。
●契約に必要な書類
契約にあたって、どんな書類が必要になるかを不動産会社の担当者に聞き、契約日までに準備しておこう。
役所に行ったり、連帯保証人を遠方に住む親戚に頼む場合は書類を郵送したり、手間がかかるので早めに取りかかること。何が必要になるかは物件や貸主によって異なるので、しっかり確認しておこう。
住民票 | カップルやファミリーの場合は、入居者全員分が必要、結婚を機に入居する場合は、双方の現住所の住民票を用意する。手配は役所で。 |
---|---|
連帯保証人の同意書と印鑑証明 | 所定の同意書に、連帯保証人がサイン・押印したもの。これと一緒に、押印したハンコの印鑑証明が必要な場合もある。 |
契約者本人の印鑑証明 | 役所で発行してもらう。印鑑登録がまだなら、登録と同時に発行してもらえる。契約時には、印鑑登録してあるハンコを持参のこと。 |
契約者本人の源泉徴収票 | 安定した収入があることを証明するために提出する。自営業などの場合は、納税証明書で代用する場合もある。税務署でもらう。 |
●契約に必要な費用
契約時に必要な初期費用は「家賃の4~6カ月分」が目安といわれる。地域や物件により異なるが、礼金に0~2カ月分、敷金に家賃の0~3カ月分、仲介手数料の0~1カ月分、前家賃として日割り家賃の数日分、損害保険料に1万~2万円が必要。そのほか、引越し費用やインテリア・家電代も含めると、大きな金額になるので、余裕をもって準備しておこう。
礼金 | 家賃の0~2カ月分 | 部屋を貸してもらう謝礼として大家さんに慣習的に支払うお金 |
---|---|---|
敷金 | 家賃の0~3カ月分 | 家賃の滞納時や、室内を汚損した際の担保として預けるお金 |
仲介手数料 | 最大で家賃の1.05カ月分 | 大家さんと入居者の仲立ちをした手数料として不動産会社に支払うお金 |
前家賃 | 最大で家賃の1カ月分 | 入居可能日から次回の家賃支払日まで日割り計算したもの |
審査にパスした旨の連絡が来たら、契約のために不動産会社に再度出向く。まずは宅地建物取引主任者の資格をもった人から重要事項説明を受けて、契約書の内容を確認する。
ここで物件所在地、家賃に関する取り決め(額面・支払方法・支払日など)、契約期間、緊急時の連絡先などを確認する。
契約内容の確認では、契約書に記載された条文を読み合わせていくことになる。ここで注意したいのは、禁止事項や特約事項、そして契約解除と退去時の敷金の取り扱い。
入居してから「そんな話は聞いていない!」というトラブルにならないよう、しっかり確認しておこう。
重要事項説明も、契約書の内容確認も、聞き慣れない専門用語が出てくる。意味が分からない部分があっても、恥ずかしいことではないので、遠慮なく質問して理解すること。すべてに納得したら、契約書にサイン・押印して費用を支払い、契約締結。引越しをして、新生活をスタートしよう!