一緒に住むことだけを考えてお互いの生活や希望を話し合わないまま部屋を選ぶと、住んでから「こんなはずじゃなかった」となりがちです。お互いにストレスをためないよう部屋選びはしっかりしたいもの。この記事では、SNSを中心に同棲カップルの部屋探しのお手伝いをしている東(ひがし)大介さんに、間取りのメリット、デメリットのほか、同棲カップルの生活スタイルに合わせた1LDK、2LDK、3LDKなどおすすめの間取りを聞いてみました。
同棲をするきっかけは人それぞれですが、「就職や転職などのライフイベントをきっかけに、結婚を見据えて一緒に住もうとなるカップルが多いです」と東さん。一人暮らしより二人で暮らしたほうが住居費や光熱費などを節約できるので、将来に向けて貯金することも可能です。また、お互いの生活スタイルや金銭感覚などを知ることができ、これから先一緒に暮らせるか確認できるでしょう。
「僕のところに相談に来る方は、リビングを中心に生活することを想定し、リビングが広めで個室の使い勝手がいいという理由で2LDKを希望されるカップルが多いです。結婚を見据え、ゆくゆくは家を買いたいと考えているカップルは、頭金や結婚式代などを考えて同棲の間は家賃を抑えて1LDKを希望されることが多いですね」(東さん、以下略)
今回は同棲カップルに関心が高い間取りとして1LDK、2LDK、3LDK、2DK、3DKを紹介していきます。まずはそれぞれのメリット、デメリットを知り、希望の間取りを検討してみましょう。
「二人で過ごす時間が長くなり、将来のイメージがつきやすいのがこの間取り。2LDKや3LDKより家賃を抑えることができ、一人ひとりの負担が少ないので、初めての同棲にはおすすめです」
「家賃や初期費用を考えないなら、2LDK、3LDKはデメリットが少ない間取りです。LDKは比較的築浅物件が多いですが、築年数が古い物件だと個室にエアコンが置けないケースがありますので注意してください」
「DKタイプは貯金をしたいから家賃を抑えたいというカップルにはいいと思います。キッチン・ダイニングが狭い場合はダイニングテーブルをなくしてローテーブルにして空間を広く使うなどの工夫をすれば、快適に住むことが可能です」
一人暮らしが二人暮らしになると、住居費を年間換算してかなりの額が節約できます。今回は参考エリアとして、SUUMO上に掲載されているすべての物件を対象に、大阪府大阪市中央区と東京都世田谷区の間取りごとの家賃と広さの中央値を抽出しました。前述の間取りごとのメリット、デメリットを知った上で、家賃や広さと比較して部屋を選ぶ目安にしてください。
1LDK | 2LDK | 3LDK | 2DK | 3DK | |
---|---|---|---|---|---|
家賃中央値(万円) | 14.3 | 19.1 | 24.6 | 10.9 | 13.2 |
広さ中央値(m2) | 40.7 | 55.4 | 70.4 | 41.0 | 54.8 |
1LDK | 2LDK | 3LDK | 2DK | 3DK | |
---|---|---|---|---|---|
家賃中央値(万円) | 12.5 | 21.6 | 24.3 | 8.3 | 10.6 |
広さ中央値(m2) | 40.2 | 57.8 | 75.0 | 41.8 | 59.2 |
詳しい費用を知りたい方はこちらをチェック
同棲費用はどのくらいかかる? 経済的にお得? ファイナンシャルプランナーに聞く同棲のメリット
デスクワークが基本である在宅勤務カップルや毎日ではなくても、週2~3回自宅でテレワークというカップル向けの間取りです。このタイプのカップルには個室が2つある2LDKがおすすめです。
仕事場が自宅の二人にとって、お互いの仕事を邪魔しないことが大事。2部屋をそれぞれテレワーク部屋にすれば、部屋が離れているのでオンラインの打ち合わせの音も聞こえず快適な仕事空間になります。プライバシーも確保できるので、二人とも在宅勤務でも気持ちよく生活できるでしょう。
テレワークカップル向けの間取りのポイント!
シフト勤務や看護師など帰宅時間が夜中や朝方になることもあるカップルは、生活リズムが違うためにすれ違いが多くなることもあるかもしれません。平日はそれぞれが相手の生活リズムを邪魔しない2LDKならうまくいきます。
夜中や明け方に帰宅して、寝ている相手を起こすのも起こされるのも睡眠の負担になります。帰宅や出社時間が異なるなら、リビングでくつろいだり寝ている相手を邪魔しないよう、リビングから離れた個室がある間取りがおすすめです。さらに個室から水回りが遠いと、シャワーや顔を洗う音も気にならないのでベストです。
生活リズムの違うカップル向けの間取りのポイント!
趣味のゲームに使うゲーミングPCを置きたい、SNSにアップする動画撮影をするのにスペースを確保したいなどの専用部屋が欲しいカップルには2DKか1LDKがおすすめです。2DKの場合、部屋の使い方を工夫することでより快適になります。
リビングから離れている個室にベッドに加えてゲーミングPCやゲーミングチェアを置けば、リビングダイニングと別室なので趣味に没頭できます。二人一緒に、または友達を招いて趣味を満喫したい場合は、敢えてリビング横の寝室(1LDKの場合はリビング)にゲーミングPCなどの趣味アイテムを置くのもアリです。
趣味部屋が欲しいカップル向けの間取りのポイント!
二人とも普段は仕事で留守をしているけれど、家でリモートの日もあるというカップルには、リビングと寝室が離れている1LDKがおすすめです。リビングと寝室が離れていれば、一緒に住んでいても自分のプライベートな空間が確保できるので、家で仕事をすることがあるカップルはもちろん、一人の時間も必要というカップルには快適な間取りです。
リビングと寝室が離れている間取りなら、個室が5~6畳あればベッドのほかに仕事机を置けるのでリモートにも対応できます。もちろんリビングで仕事をしてもOK。
ときどき家で仕事や作業をするカップル向け間取りのポイント!
仕事形態にかかわらず、生活リズムが同じでなるべく一緒にいたいカップルにはリビングと寝室が隣接している1LDKがおすすめ。このタイプは家具の配置もしやすいのが特徴です。
リビングに寝室が隣接している間取りは新築物件に多く見られます。個室は6畳あれば、ダブルサイズ、キングサイズのベッドはもちろん、シングルベッドを2つ置くにも広さは十分です。LDKが広くないなら、ダイニングテーブルは置かずにカウンターやローテーブルで食事を取り、ダイニングを広く使うという使い方もあり。
なるべく一緒にいたいカップル向け間取りのポイント!
二人の生活パターン以外に、同棲する物件を選ぶ際に気を付けたいポイントはあるのでしょうか。必ずチェックしたいポイントに関して、東さんに解説をしてもらいました。
「可能なら35m2以上欲しいですね。理想はリビングが10~12畳、洋室が5畳以上ある40~45m2の1LDKです。ただし間取りや使い方次第で35m2以下でも快適に住むことができるので、諦めずに不動産会社に相談してほしいです」
都心に住みたいカップルは、経済的にどうしても狭い間取りを選択せざるを得ないケースも出てきます。住みやすい物件・生活スタイルを選ぶポイントはあるのでしょうか?
「そういったケースでは、固定観念を捨てることを提案しています。例えばダイニングにダイニングテーブルは本当に必要なのか。ダイニングテーブルを置かなくても、ローテーブルやカウンターで食事を取れば、ダイニングやリビング空間を広く使うことが可能です。そのほかにも、住み始めの荷物はお互い最低限にして、住んでから本当に必要なものを少しずつ買い足すことをおすすめしています」
間取り以外でも、部屋を選ぶ際に気を付けたい条件はあります。次の3点に気を付けて選ぶと納得のいく部屋探しに近づきます。
きれいな四角形の間取りが家具の配置をしやすいのでおすすめ。柱やくぼみがある間取りは、部屋は広くても家具を置ける部分が狭いので避けたいところです。
「人が歩く動線上やバルコニーに出る窓、ドアの開閉部分にも家具は置けないので気を付けてください。また、寝室が3畳以下だとダブルサイズのベッドは置けません」
リビングに窓がないと、日当たりも悪く換気もしにくい可能性があります。
「日当たりが悪いから引っ越ししたいという声はよく聞きます。また、バルコニー側が個室で、リビングに窓がない間取りだと、一人がテレワークでバルコニーに隣接した個室を使っている間は洗濯物が干せないということもあり得ます」
1981年以前は旧耐震基準で建てられているので注意しましょう。
「1981年6月1日以降の新耐震基準で建てられた物件は、阪神淡路大震災では大きな被害が少なかったことが分かっています。家賃との相談になりますが、できるなら築浅物件を選択することをおすすめしています」
特にフルリノベーション案件は内装がきれいなので確認を怠りがちですが、築年数を必ず確認しましょう。
ほかにも自然災害による被害を予測し、被害範囲を地図化したハザードマップはインターネットでも自由に見ることができるので、住みたいエリアを決める際にチェックしておきましょう。
家賃を考慮し、マンションタイプからアパートタイプまで広く検討しているカップルもいるでしょう。そんなカップルにアパートを選ぶ際の注意点を4つ紹介します。
築年数が古いと音が予想以上に響くことがあるので、内見の際に必ずチェックすること。隣の部屋の音以外にも、トイレやシャワーの音が予想以上に響くこともあります。
アパートは排水溝やエアコンのホース、換気扇の隙間などから虫が侵入する可能性があります。もし入居する場合には、侵入経路をあらかじめふさいでおくのがいいでしょう。
アパートはバルコニーがむき出しになっていることが多いですが、防犯的にも必ずシャッターがあるか確認しておきましょう。
妊娠後もそこに住む可能性があるなら、階段のみの物件は妊婦さんに負担になります。子どもが生まれた後もベビーカーの上げ下ろしの際、負担が大きいでしょう。
内見の際は、間取り以外にも以下4つのポイントを意識するといいでしょう。もちろん家具の配置を考えて、メジャーで幅や高さを測ることは必須です。
シーリングライトやエアコンが付いていない場合は、自分で設置する必要があるので初期費用が高くなります。「僕たちは内見の際は必ず動画を撮ります。天井やエアコンの設置数と場所、コンセントの位置など動画で撮影しておくと後から見直せて便利です」
インターネットに関しては、「オンラインゲームをされる方は回線の速さが命なので、有料で回線をつないでいただいたほうがいいと思います。ネットフリックスや動画程度なら無料インターネット回線で十分です」
ベランダや窓の前に建物が迫っていると、日当たりが悪くなるのに加えて圧迫感も。事前にグーグルマップやストリートビューなどで確認しておくのがおすすめ。窓を開けた際に目の前の物件の窓と同じ高さの場合、目が合って気まずいこともあるので、内見の際にチェックするといいでしょう。
「高速道路や幹線道路が近くにあると、ベランダの汚れの速度が速いです。洗濯物が汚れたり、ベランダの手すりや床の掃除が大変になるので注意しましょう」
まずエントランスや共用部分の張り紙をチェックします。見るポイントは「いつ」張られたか。最近のものであれば管理会社の対応が早いことが分かります。
また、該当階以外にも降りてみて廊下など共用部分に荷物が放置されていないかや、宅配ボックスがどのくらい埋まっているかもチェック。例えば宅配ボックスは10個中9個埋まっていたら、住人がすぐに取り出していないことが分かります。ほかにも、駐輪場に子どもの自転車が多く置いてあれば住人にファミリーが多いことが分かるので、住んでからの生活のイメージがつくでしょう。
間取りや立地以外のポイントで、同棲向きのいい物件を見つけるコツは3つあると東さんは言います。これらのコツをもとにいい物件を探してくださいね。
「物件に出会うのはタイミングも大事です。『この物件いいな』と思ったときにすぐ連絡が取れる担当を作っておくと、タイミングを逃さずいい物件に出会えるでしょう」
「10万円の家賃を希望していたとしても、プラス5000円出せば希望がかなう可能性があります。そこを10万円以上は絶対出せないと妥協ができない方はいい物件を逃してしまうことも」
「例えば将来結婚して家を購入したいなら、『今は賃貸だからこの部分は我慢しよう』というポイントを二人で決めておくと、いい物件に出会う可能性が広がると思います」
初めての同棲には、二人で過ごす時間が長くなり、比較的家賃を抑えることができる1LDKがおすすめ
理想はリビングが10~12畳、洋室が5畳以上ある40~45m2の1LDK
担当を決めておくこと、希望の家賃に余白を持つこと、希望条件の妥協点を決めておくことがいい物件を見つける上で大事