『中古で得する』マンション購入後の5年間活用法

公開日 2011年09月22日
『中古で得する』5年間活用法

中古を買うとどんなメリットがあるのか。ここでは価格面にクローズアップして考えてみよう。

中古マンションのここに注目!

木造一戸建ては築25年前後で下げ止まる[図1] 築年数による価格の変化グラフ(マンション)[図2]

築15年以前とそれ以降では下落幅が大きく異なる
一般的にマンションの価格は新築から15年ほどの間に大きく下落するが、その後はなだらかな下落曲線を描く。新築から築15年まで約57%ダウンするが、築15年から同30年まではほとんどダウンしない。また、一戸建ては築25年前後で建物の価格が下げ止まり、その後はほぼ横ばいとなる(相場変動を除いた理論値)。上のグラフでは築15年目で32%下がり、その後はさほど下がらない。

新築に比べて価格の安さが魅力。将来の値下がりリスクも小さい

【魅力1】価格が手ごろで住宅ローンの負担も軽い

上のグラフを見れば分かるように、中古は新築に比べて価格が安いのが大きな魅力。築10年前後で新築時より4割程度ダウンするケースが多い。価格が安ければそれだけ住宅ローンの負担を軽くすることができる。また、予算が同じでも新築より広い家を買うことが可能だ。

【魅力2】新築に比べて価格の下がり幅が小さい

築年数が浅いほど値下がりが大きいケースが一般的だ。その理由について、東京カンテイ市場調査部の中山登志朗さんは、「築後10年程度は『新しさ』という条件が年々弱まり、価格も大きく下がります。しかし古くても建物価値はゼロにはならないため、築10年前後から下落率が縮小するのです」と話す。

【魅力3】賃貸より高いグレード。リフォームもできる

中古は価格が安い分リフォームに注力できる

中古は分譲物件だけに、賃貸物件と比べて設備や仕様のグレードが一般的に高い。家賃と同程度のローン支払いなら、賃貸より広い家が買えることも多いのだ。「中古は価格が安い分、リフォームにお金をかけられるので新築と同様の住み心地を安く実現することも可能です」(中山さん)という面も。

購入か賃貸か、新築か中古かどれが一番おトクな住まい?

家を選ぶときには、「購入か賃貸か」「新築か中古か」という2大テーマをクリアする必要がある。
それぞれ一長一短があり、家族のライフスタイルや好みなどを考慮しながら選びたい。

■購入・賃貸のメリット・デメリット
  メリット デメリット
購入 ・自分の家だから自由にリフォームできる
・住宅ローンを返し終えれば住居費が軽い
・仕様や設備のグレード感が高いことも
・頭金など初期費用がかかる
・売却時に値下がりしていると損をする
・ローン以外に税金や管理費が下がる
賃貸 ・初期費用がさほどかからない
・気軽に住み替えられる
・値下がりで損するリスクがない
・壁紙を変えることも自由にできない
・老後も家賃を払い続けなければならない
・手元に資産(不動産)が残らない
■新築・中古のメリット・デメリット
  メリット デメリット
新築 ・設備や仕様が最新で住み心地がよい
・誰も住んだことがないので綺麗
・近所と同時入居で仲良くなることも
・中古と比べて価格が高い
・買ってすぐ中古になって値下がりする
・選べるエリアが限定されることも
賃貸 ・新築より安く、リフォームで自分仕様にも
・売られているエリアが多く選択肢が広い
・管理状態や居住者の実態を確認できる
・リフォームしないと設備や内装が古い
・隣近所の輪ができていることも
・築年数が古いと維持管理が高くなる

中古マンション5年間活用法 住み替えシミュレーションと3つのポイント

実際に中古を買うとどの程度おトクなのか。賃貸と比較しながら5年間の収支を試算してみよう。

5年間の収支シミュレーション

【ポイント1】5年後に住み替えるとしたらトクなのは賃貸か? 中古か?

賃貸の支出は家賃がほとんど。初期費用と更新料も加える
5年後に住み替えることを前提として、賃貸と中古で収支をシミュレーションしてみよう。まず賃貸は基本的に家賃を払うだけなので、礼金や仲介手数料などの初期費用や更新料も加えて計算する。その結果、賃料13万円として5年間の収支は845万円の支出となった。

中古は売却価格が収入に。それ以外は支出として計算
中古マンションの計算は少し複雑だ。まず5年後に売ったときの売却価格が収入になる。それ以外はすべて支出で、買った時の頭金や購入費用、5年分の住宅ローン返済額、売ったときの費用や住宅ローンの残債も計上。2000万円の物件の収支は差し引き569万円の支出だ。
こうしてみると、中古を購入するといろいろな費用がかかることが分かる。まず買うときには住宅ローンを借りるための手数料や保証料がかかり、契約時や登記時に税金なども必要だ。また入居した後は住宅ローンの返済に加え、マンションの場合は管理費や修繕積立金も月々支払うことになる。さらに購入時や売却時には仲介手数料もかかるので、単純に家賃とローンを比べればいいわけではない。

【ポイント2】中古の値下がり分を加味しても賃貸よりトクなケースが少なくない

中古と賃貸を比べると、中古は頭金など買うときの初期費用が大きい。一方で住宅ローンが低金利なこともあり、月々の費用は一般的に中古の方が軽い負担だ。
そのため5年間の支出だけで比較すると、さほど大きな差にはならない場合が多い。だが、売却したときの収益を加味すると、収支では中古の方が有利になるケースが少なくない。ただし中古といってもこれは築15年以上の場合。築年が浅いと値下がりも大きいので、トータルで賃貸のほうが安く済むこともある。

5年後の“出口戦略”を考えて買う

中古マンションを買うときには、「将来住み替えるときの“出口戦略”を考えておくことが重要」だと中山さんは話す。「売りやすい条件として挙げられるのは、駅からの近さや共用施設の充実度、眺望の良さなどです。条件を満たす物件は一般的に値下がり率が小さくなります」
一方、貸しやすい条件はやや視点が異なるという。「駅からの近さは売るとき以上に影響します。加えて、専有面積が30m2以上70m2以下の物件は賃貸ニーズが高く、賃料も高めです」(中山さん)

【ポイント3】損得では賃貸とトントンでも分譲には賃貸にないメリットが

賃貸と築15年程度の中古の5年間の収支を比較(◎なら中古がトク!)

多くの場合で中古の方が収支で得になる
上の表を見ると多くの場合で築15年程度の中古マンションの方が収支で得になることが分かる。賃貸の収支が中古を50万円以上上回るのは家賃9万円以下の一部だ。ただし価格の下落率やローン金利などにもよるので、あくまで目安としてほしい。

仕様の差を考えると中古が得なケースはさらに多い
分譲と賃貸とでは、物件の設備や仕様に差があるからだ。仮に中古の方が負担が重くても、住み心地のよい家に住めるのだから得という考え方も成り立つ。

物件選びでは収益性や資産性も考慮しよう

賃貸と比べて有利な場合が多い中古だが、売ったり貸したりしやすい物件を選べばさらにトクできる。「値下がりのしにくさを示すPBRや、貸したときの賃料の有利さを示すPERなどの指標を参考にすることで、より有利な住み替えが可能になります」(中山さん)。一般的に賃料の高いエリアは資産性も高くなる傾向があることも、物件を選ぶときに覚えておいてソンはしないだろう。

【PBRの考え方】PBR=中古価格÷新築価格

新築価格に対する、その物件が中古で売りに出たときの価格の割合。Price Book Value Ratio(資産倍率)。数値が高いほど資産性が高く(値下がりしにくく)、1を超えると新築時より高く売れることを示す。

【PERの考え方】PER=物件価格÷(賃料×12カ月)

新築(または中古)価格に対する、その物件を賃貸に出したときの賃料(年額)の割合。Price Earnings Ratio。数値が低いほど収益性が高く(賃料が高く)、短期間で購入価格を回収できる。首都圏平均は25.40(2009年)

買い方次第でトクできるのが中古の魅力

中古マンションの魅力としては豊富な物件数や設備仕様のグレードが上がっていること、価格の安さなどが挙げられる。さらに今回見てきたように、住み替えを前提とした場合にもおトクな場合が多い。「今ではリフォーム費用も安価で技術が進んでおり、低コストで新築並みの住まいも実現します。エコポイントでリフォームが有利になっていることも注目でしょう」と、中山さんも指摘する。
中古マンションに目を向ければ、希望の住まいを賢く実現できるだろう。

まとめ

中古マンションは価格が手ごろで住宅ローンの負担も軽く、新築に比べて価格の下がり幅が小さいケースが多い(都心部はその限りではない)

中古だと賃貸よりもグレードが高くリフォームもできる

立地や物件によるが5年後に住み替える場合は、中古の値下がり分を加味しても賃貸よりトクなケースがあることも。

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構成・取材・文/大森広司 イラスト/伊藤さちこ
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