借りるor 買う or建てる 二人にはどれがお似合い?
新婚の家として考えられるのは、賃貸、マンションや一戸建ての購入、住宅の建築の3パターン。それぞれのメリット、デメリットを探りながら、どんな人にどのタイプがふさわしいか考えてみた。
新婚カップルの住居形態で圧倒的に多いのは賃貸。「ゼクシィ新生活準備調査2010」によれば、約63%が賃貸で準備している。新婚カップルが賃貸を選ぶのは、金銭的負担の少なさや気軽さのゆえ。賃貸は購入に比べ、入居時の金銭的負担が少ないので、結婚式などで物入りな新婚カップルには大助かりだ。
また、転勤や転職があったり、子どもが産まれて家族が増えたりと、新婚カップルは将来的に生活が変化する可能性が高いことも多く、とりあえずの住居として賃貸を選んでいるという側面もなきにしもあらずのよう。さらに、家を探し始めてから入居するまで3?4カ月あれば十分なので、とにかく早く二人で住みたい、あるいは急きょ結婚が決まったという二人にもぴったりなのだ。
住居にかける予算があまりない、なるべく早めに入居したい、将来的に生活が変化する可能性があるので、とりあえずの住居でOKという二人には、賃貸がお勧め。賃貸で二人暮らしのペースをつかみ、ゆくゆくは購入を考えるという方法をとってもいいだろう。
結婚年齢が上昇傾向にある昨今。新婚カップルでいきなり新居を購入したという人もいる。購入派は約15%で、このうち、マンションを購入したという人は約8%に上る(「ゼクシィ新生活準備調査2010」より)。
購入派の多くは、家賃にお金を費やすのはばかばかしいと考えており、結婚を購入の良いきっかけととらえているよう。また、賃貸では気に入った広さ、間取りの物件がなかなか見つからず、思い切って購入したという人もいる。
家を購入するには、当然のことながら費用がかかる。購入金額の平均は3190.4万円、住宅ローンの金額の平均が2847.9万円。諸費用の目安が5?10%なので、3000万円の物件を購入し、2800万円をローンで借りるとしても、350万円~500万円が必要になる勘定だ。
したがって、二人にある程度の貯蓄があったり、親からの援助か見込める人でないと、購入するのは難しいだろう。さらに、新築の未完成物件の場合は、入居まで1年以上かることも。すぐに住み始めたいのなら、完成物件や中古物件を選択肢の中に加えるといいだろう。
賃貸、購入に比べ、さらにハードルが高くなるのが、家を建てるという選択だ。家を建てるためには、土地を準備し、どんな家にするかを一から計画する必要がある。
そのため、新婚でいきなり家を建てる人は、親から土地を譲渡される、あるいは将来親の家の近くで住むことが決まっているというケースが多いようだ。また、気に入った賃貸物件や購入マンションがないというエリアでは、必然的に戸建住宅の建築を選ばざるを得ない場合もある。
家を建てる場合の最大のメリットは、間取りやインテリアなど自分の好みに設計できるということ。当然のことながら、資産価値も生まれる。ただし、購入するのと同様、ローンを組むにしてもある程度の費用は必要。また、一から設計するために、時間もかかる。したがって、時間的余裕があり、ある程度の貯蓄や親からの援助が見込める人向きということができるだろう。
借りるor 買う or建てる どんなダンドリで進めればいい?
結婚後の新居探しは、結婚式の準備などと並行して行うことが多いため、なにかと忙しい。どんなダンドリで進めていけばいいのかを事前にしっかりと把握し、準備をしていくとスムーズにいくはず。
下見から申し込み、契約まではスピーディに行いたい。契約がすんだら、引越しの手配もお忘れなく。
大きな買い物になるので、じっくり検討し、慎重に選びたい。未完成物件の場合は、入居まで1年以上かることも。
自分の思い通りの家をつくるのは、楽しみでもあり、また、大変な作業でもある。将来の生活をイメージし、計画することが大切だ。
結婚式が先? それとも同居が先?
かつては結婚式が終わってから、晴れて一緒に住み始めるというのが一般的だったが、最近では結婚が決まると同時に一緒に住み始める人も少なくない。結婚式前に一緒に住み始めるメリットは、結婚式の準備がスムーズに行えるということ。お互いの意思疎通も図りやすいし、一緒に準備できるから作業もはかどる。さらに、一緒に暮らし始めると同時に婚姻届も提出してしまえば、改姓と住所変更の届け出を一度に行うことができ、効率的だ。
借りるor 買う or建てる どんなダンドリで進めればいい?
結婚後の新居探しは、結婚式の準備などと並行して行うことが多いため、なにかと忙しい。どんなダンドリで進めていけばいいのかを事前にしっかりと把握し、準備をしていくとスムーズにいくはず。
夫(29歳・会社員) 妻(30歳・会社員)
[家賃] 10万円
[検討から入居まで] 約3カ月
双方の実家が持ち家で、将来的には妻の実家に住む可能性が高いというAさん夫妻。そのため、自分たちでマイホームを購入するという考えはほとんどないという。金銭的なことを考えれば、すぐに同居という方法もなくはないが、「やはりしばらくは二人の生活を楽しみたいですから」とAさん。また、現在は両親もまだまだ元気。独身の弟も同居しているため、実家に入るのはかなり先のことになりそうだ。
そのため、新居は必然的に賃貸に。家賃10万円以内、駅まで徒歩10分以内、築10年以内、2LDK、風呂の追い焚き機能付きを条件に探した。「子どもができた時のことを考え、手当てが充実している東京都に住みたかったのですが、東京と埼玉では家賃が2万円~3万円違うので、そこは妥協しました」。なかなか見つからず、複数の不動産会社に声をかけてやっと見つけた現在の住居は、ほぼ希望通りの物件。居心地よく暮らしている。
夫(34歳・会社員) 妻(30歳・会社員)
[物件価格] 2530万円
[1カ月のローン返済額] 8万円
[検討から入居まで] 約5カ月
新婚でマンションを購入したBさん夫妻だが、当初から購入を考えていたわけではない。「初めは賃貸で探していたのですが、納得いく物件がなかったんです。それに、賃貸はお金を無駄にしているような気もして」と話す。いろいろ検討した結果、家賃とローン返済額が同じくらいなら、思いきって購入したほうがいいという結論に。両家の親も賛成してくれ、500万円の援助も取り付けることができた。
「ただ、やはり新築は高いので、築浅の中古物件を狙いました」。さらに、二人にはもうひとつ心配事が。将来的に転勤の可能性があるのだ。「そうなったら売るか、貸せばいいかなと。ですから、買い手や借り手がつきやすそうな、駅から徒歩圏内で、人気のエリアを条件にして探しました」。数件の不動産会社に声をかけ探すこと約4カ月。20軒以上を見学して決めたのが今の住まい。「リビングがもう少し広ければ……など細かな部分で不満はないわけではないけれど、おおむね満足しています」
夫(32歳・会社員) 妻(27歳・会社員)
[物件価格] 3400万円
1カ月のローン返済額 約9万円
[検討から入居まで] 約7カ月
もともと「家賃を払うのはもったいない」という考えを持っていたCさん夫妻。そこで、新居は一戸建て住宅の購入を検討していたが、一方で、将来的には夫の両親と同居することが決まっていた。「だったら、最初から一緒に住んだ方が効率的では?」と考え、両親と同居する家を建築することになったという。「新婚の間は二人だけで暮らしたいという気持ちがなかったわけではありませんでしたが、結婚前から同棲していたので、まあいいかなと」
土地は夫の両親が持っていたため、注文住宅を建てることに。土地の広さと予算の関係で、二世帯住宅にはせず、寝室以外は両世帯の共有とした。1階を両親、3階をCさん夫婦のスペース、2階を共有のリビングとする間取りにして、個々のプライバシーは確保できるようにした。軽量鉄骨住宅で間取り変更の自由度が少なかったことや、2台分のカースペースを取りたいなどの事情から、間取りを考えるのに苦労したというが、「自分たちで一からプランを考え、決めることができたのでとても満足しています」
将来を見据えて、どのスタイルにするか考えて
賃貸に住むか、購入するか、あるいは一から家を建てるのか、新婚の家の形態はさまざま。それぞれのメリット・デメリットを踏まえて、自分たちにはどれが最もふさわしいか、考えてみよう。その際には、現状だけではなく、子どもは何人欲しいか、親とは同居するのか、転勤や転職はあるのかといった将来の展望を含め、検討するといいだろう。