月給やボーナスが減ったり、急に出費が増えたりして、住宅ローンの返済が苦しくなってきたとしたら、あなたはどうしますか?不測の事態に備えるための貯蓄がある程度でもあれば、それを取り崩すことで対応が可能でしょうが、取り崩す貯蓄もなかったとしたら…。
(1) 親や兄弟にSOSを出して援助してもらう?
(2) カードでキャッシングをして急場をしのぐ?
(3) 友人に頼み込んでお金を借りる?
(1) の親を頼るくらいなら大きな問題にはならないでしょうが、そのほかの(2)と(3)は、絶対にやらないほうが無難なものです。
(2) のように、安易にキャッシングなどをしてしまうと、利息負担が重いだけでなく、収入の増加や支出の減少などで家計が改善していかない限り、一度キャッシングを利用して借金が増えてしまうと、その借金を返すためにさらなるキャッシングを繰り返すことになってしまう可能性が高いといえます。挙げ句の果てには、複数のカード会社や消費者金融からの借入れが積もり積もって、多重債務者として自己破産せざるを得ない状況に追い込まれる可能性さえあります。
(3) の友人から借りるというのも、絶対に避けるべきです。せっかくの友人関係をお金の問題で失ってしまう可能性があるからです。気心の知れた友人ほど、頼みやすい存在かもしれませんが、かけがえのない友人であればこそ、お金の貸し借りは避けるべきでしょう。
では、どうすべきか。
結論から言うと、とにかく返済が苦しくなりつつある状態になったら、一刻も早く返済中の金融機関等に相談に行くことです。延滞になる前に相談に行くことも、重要なポイントです。
一般の金融機関等は、ローンの延滞を起こしている人からの相談は受け付けてくれない可能性が高いので、延滞になる前に行動することが大切なのです。
もちろん、金融機関等によって対応は異なりますが、返済計画の変更によってその後の返済が確実に行われる可能性が高いと判断されれば、一時的な返済額の減額や、返済期間の延長、元本部分の返済の一時的な凍結など、条件変更の相談に応じてくれる可能性があります。
旧住宅金融公庫の融資や【フラット35】の場合、住宅金融支援機構が、返済が苦しくなってきた人のための救済措置を用意しています。収入が一定水準以下になってしまった場合など、一定の条件を満たした人については、一定期間の返済額の減額や、返済期間の延長などが受けられるようになっているのです。ただし、救済措置とは言うものの、一定期間の返済額の減額や返済期間の延長などは、トータルの返済額を増加させてしまうものなので、安易に利用するのではなく、やむをえない場合のみにしたほうが無難です。
また、万一、返済中の金融機関等が相談に乗ってくれなかった場合は、他の金融機関等やFP(ファイナンシャル・プランナー)、住宅ローンアドバイザーなどにも相談してみてください。借り換えなどによって多少は返済額の軽減が実現できるかもしれません。
特に、返済中の住宅ローン金利が固定金利タイプで、金利水準が比較的高いなら、他の金融機関等の変動金利型などの当初一定期間低金利が適用されるローン商品に緊急避難的な借り換えを実行する方法もあります。将来の金利上昇リスクを考えた場合、あくまでも緊急避難的な措置であることは十分に認識すべきですが、当面の返済額を減らすことができます。
繰り返しになりますが、とにかく返済が苦しくなってきたら、延滞する前、または、カードローンなどの他の借金を増やす前に相談に行くべきです。一人で悩まずに、あちこちにどんどん相談に行くくらいのスタンスが、将来の家族の幸せのためにも重要だといえるでしょう。
イラスト/杉崎アチャ