2012年4月以降、6年ぶりに年金額が減る?

公開日 2011年02月16日
ヒッシーのマネー騎士(ナイト)
ヒッシーのマネー騎士(ナイト)

日本の公的年金の制度については以前、「ローンを組む前に知っておこう、年金制度のキホン」という記事で基本的なことは触れましたが、その後1年が経過し、平成22年度の国民年金保険料は毎月1万5100円に引き上げられ、老齢基礎年金の受取年金額は満額で79万2100円に据え置かれていました。

平成23年度の満額の老齢基礎年金は?

さて、来る平成23年度はどうなるのかというと、1月28日に発表された平成22年の物価が前年と比較して0.7%下がったことを受けて、4月以降の年金額は0.4%引き下げられることになりました。

例)40年間国民年金保険料をきちんと負担した人が65歳から受け取れる満額の老齢基礎年金額

・平成23年度の年金価額(年間)
79万2100円(平成22年度の年金額)-79万2100円(平成22年度の年金額)×0.4%
=78万8900円(100円未満四捨五入)

こちらを月額に換算すると下記のとおりになります。

・平成23年度の年金価額(月額)
78万8900円÷12 = 6万5742円

平成22年度の月額の年金価額は6万6008円でしたので、266円の減額です。また同時に、国民年金保険料も80円だけ引き下げられ、4月からは1万5020円になる予定です。

なぜ物価が下がると年金額も下がるの?

ちなみに、物価が0.7%下がったことを受けて年金額が0.4%引き下げられるというのは、少しややこしい仕組みで計算されているためです。そもそも日本の公的年金には、物価スライドという仕組みがあります。モノの値段(物価)が上がったときに年金額を増やしてあげないと、年金生活者の生活は苦しくなる一方になってしまうので、物価の変動に応じて年金額を増減させるというのが物価スライドです。

現在支給されている「特例水準」の年金額は本来より高く設定されている

年金額は下記の2つが存在します。
1.「本来水準」の年金額
・・・法律上、想定される年金額
2.「特例水準」の年金額
・・・現在支給されている年金額で平成11年から平成13年の3年間の物価の下落分(マイナス1.7%)を特例的に反映せずに支払われている。

つまり、現在実際に支払われているのは、2の「特例水準」の年金額ですが1の「本来水準」の年金額より高く設定されているのです。

また、この特例水準の年金額は、物価が上昇しても据え置く一方、物価が直近の年金額改定のもととなる物価水準(現在は平成17年の水準)を下回った場合に、その分だけ引き下げるというルールになっています。今回、平成23年度の年金額が0.4%引き下げられることになったのは、平成22年の物価の下落(マイナス0.7%)によって、平成17年の物価を0.4%下回ることになったからなのです。

なお、本来水準の年金額も毎年きちんと計算されていて、物価や賃金の上下に応じて増額や減額が行われています。将来的には、物価や賃金の上昇によって本来水準の年金額が特例水準の年金額を上回るようになったときに、本来水準の年金額が実際に支給されるような仕組みになっています。しかし、平成23年度においては、特例水準の年金額が本来水準の年金額より2.5%多い状態へと、その差が拡大しました。

実質的な年金額を理解して資金計画を

年金生活者にとっては、年金が減るというのは老後生活に直結する大きな問題といえるでしょうが、物価が0.7%下がっているのに年金額は0.4%の引き下げにとどまるということは、実質的な年金額は減らないので、あまり深刻に捉える必要はないと思います。どちらかといえば、今後物価が上がっていったときの実質的な年金額の引き下げのほうが怖いと思っておくべきでしょう。

というのも、本来水準の年金額が特例水準に追い付くためには、あと2.5%の増加が必要なわけですから、単純計算でも2.5%以上物価が上がらないと年金額は増えないことになります。さらに将来、本来水準が採用されるようになっても、マクロ経済スライドという仕組みによって、物価上昇率どおりには年金額が増えないことも確定しています。

このような仕組みは、公的年金制度を長期的に維持していくために導入されているものなので、一概にデメリットだらけの仕組みだとは言えませんが、年金生活者や今後年金を受け取り始める人にとって、年金額が実質的に減っていくというのは大きな問題でしょう。

住宅ローンをこれから組もうとする人は、このような問題点を十分に知ったうえで、「なんとかなるだろう」といった安易な気持ちでローンを組むのではなく、最悪の場合も想定して慎重に資金計画を練ることが重要でしょう。

イラスト/杉崎アチャ

新築マンションを探す
中古一戸建てを探す
新築一戸建てを探す
土地を探す
賃貸物件を探す
引越し見積もりをする
中古マンションを探す
注文住宅の会社を探す
リフォーム会社を探す
売却査定する
カウンターで相談する
ハウスメーカーを探す
工務店を探す
関連する最新記事を見る
住みたいエリアや購入価格からマンション・一戸建てを探そう!
住まいの種類
住みたいエリア
  • エリア
  • 都道府県
  • 市区郡
購入価格

お役立ち講座・個別相談のご案内無料

住まい選びで「気になること」は、人それぞれ。スーモカウンターのアドバイザーは、新築マンション選びと会社選びをサポートします。講座や個別相談を通じて、よかった!と思える安心の住まい選びをお手伝いします。
カウンターアドバイザー

住み替えサポートサービス

ページトップへ戻る