以前、賃貸がトクか購入がトクかは、そう簡単に結論が出せない難しい問題だと書きましたが(https://suumo.jp/article/oyakudachi/oyaku/sumai_nyumon/money/c814d003/)、それでも会社員の半数程度の人が、住宅ローンを組んでマイホームを手にしている現状からすると、依然として、多くの人にとってはマイホームの取得が人生の大きな目標の1つになっていると考えることができるでしょう。
しかし、日ごろ住宅ローンや住宅取得全般についての相談業務を行っていますと、意外と多くの人が家計の面からみてギリギリじゃないかとか、厳しいのではないかなどと思われる資金計画でマイホーム取得を実行しているように感じられてしかたがありません。
実際に、マイホームを買ったのはいいが、その後、夫の小遣いが減らされたり、外食や旅行に行く回数が減ったり、せっかく入れた床暖房もガス代などが高くなるので使わないようにしたりといったように、住宅ローンや固定資産税等の維持費の支払いのために生活を切り詰めている家庭が意外と多いのです。
一体、何のためのマイホーム取得なんでしょうか。マイホームさえ手に入れば、あとの生活はそれまでより厳しくなっても平気なのでしょうか。
もちろん、人それぞれで価値観は違います。マイホームの取得そのものが人生最大の目標だという人もいるかもしれません。でも、家を買って終わりではなくて、その後の生活があるわけですから、それを無視することはできないでしょう。
やはり、マイホームの取得そのものを目標にしてはいけないと思います。マイホーム取得後の生活を冷静に見積もって、それまでどおりの(もしくは、それまで以上の)ゆとりのある生活を送れるような資金計画を練ることが重要です。
理想的なマイホーム取得計画とは、マイホーム取得後に夫の小遣いを増やせたり、外食や旅行の回数を増やせたり、老後生活への不安要素を少しでも減らせたりする計画だと思います。
「結婚」がゴールではないように、「マイホーム取得」もゴールではありません。
その後の生活に安心と満足が得られるかどうかが、その計画の成否を決めるといえるでしょう。
この記事は、2022年3月17日現在の情報です
イラスト/杉崎アチャ