玄関ドア・窓選びの基礎知識

公開日 2009年08月19日
玄関ドア・窓選びの基礎知識

種類が多く、デザインや機能も多彩な窓。
色や形状によってインテリアの雰囲気ばかりか外観のイメージも大きく変わる。
用途に合わせて、美しい窓をつくろう。

窓の基礎知識

サッシとガラスの性能、デザインに多様性
窓はサッシとガラスで構成され、窓を選ぶときはサッシとガラスをそれぞれ選ぶことになる。外部との接点となるため、熱の出入りを少なくする断熱性能、不審者の出入りを妨げる防犯性能が不可欠だ。室内の雰囲気や外観のイメージを左右する部材でもある。デザインも多彩で輸入部材も数多い。部屋の用途を十分見極めて選択したい。

窓の基礎知識
アルゴンガス+LOW-Eガラスが標準のスライディングドア。サッシは北欧パイン。●プレイリーホームズ

【選び方のポイント1】用途やデザインに合わせて適切な形状を選ぶ

窓を考える時は、まずサッシを選ぶ。下は開き方で分類したものだが、サッシには多くの形状やデザインがある。
引いて開けるタイプには、横に引くものと縦に引くものがあり、開閉のためのスペースがいらないので機能的だ。
押し引きして開けるタイプは、欧米の住宅で多く使われている。上下、左右、内外など開く方向がいろいろあり、デザイン性にも富む。これを採用するときは、開く方向にガラス戸が飛び出すので開閉時のスペースをきちんと確保しておきたい。
サッシの素材や色も選択のポイントになる。一般的なアルミのほか樹脂や木を採用したサッシもある。また、アルミを室外側に、室内側には断熱性に優れた木や樹脂を組み合わせたサッシも。部屋の用途やインテリアも考慮して大きさやデザイン、取り付ける位置を決めよう。
また、窓は外観デザインの面でも大きな役割を果たす。デザインや形状、配置などによって外観イメージが異なるからだ。希望すればCGなどを使って、外観イメージや内部のインテリアとの調和を確かめられる。
採光や通風のほか、視界の広がり、外からの見栄えなど目的やデザイン性も合わせて適切な形状を選びたい。

引いて開けるタイプ

片引き窓

片引き窓
一方がフィックスで、片方のガラス戸だけが左右に動いて開閉。フィックスの面で眺望を取り入れることも

引き違い窓

引き違い窓
2枚のガラス戸が動き、左右どちらにも開けられる。開口幅が調節しやすく、清掃も容易

上げ下げ窓

上げ下げ窓
ガラス戸を上下にスライドさせて開閉する。場所を取らずに開閉したい窓に適している。

押し引きして開けるタイプ

たてすべり出し窓

たてすべり出し窓
窓を開けると開き部分が内または外に飛び出す。角度調整できるカムラッチハンドル付

すべり出し窓

すべり出し窓
ガラス戸を押すと、窓枠に沿ってガラス戸が外側にすべり出すことで開き、引くと閉まる。ハンドルで操作

上げ下げ窓

内倒し窓
ガラス戸の下枠を軸に上側が室内側に倒れて開く。上部から換気するので、効率よく風が入る

その他のタイプ

フィックス窓

フィックス窓
採光や眺望を目的にガラスを窓枠にはめ込んだ開閉しない窓

ルーバー窓

ルーバー窓
細長形状のガラスが組み合わさり、ハンドル操作で上下に開閉

オーニング窓

オーニング窓
ハンドル操作で開閉する庇状のルーバーを組み合わせた窓

出窓

出窓
壁から張り出す形によって台形出窓、弓形出窓、三角出窓などの名称がある。室内を広く感じさせる効果も人気

写真提供/三協立山アルミ

【選び方のポイント2】断熱やバリアフリーなどサッシの性能に注目して

サッシを選ぶときは、断熱性能にも配慮したい。断熱サッシとは住宅の断熱性向上のためのサッシのことで、サッシを2重、3重に設けるものと、複層ガラスを採用したものがある。
複層ガラスを組み合わせたサッシは、室内側と室外側のアルミサッシの間に、特殊な断熱材を挟んだものや室内側、あるいは室内側と室外側の双方に木や樹脂を採用したものもある。より断熱性を高めたいときはサッシを2重に入れる方法も。内窓は、窓を変更できないマンションのリフォーム時にも有効。
このほか、バリアフリー構造のサッシもある。掃き出し窓やテラス窓の下枠レールが飛び出さないようにしたもので、室内との段差を解消してつまずかないよう安全性を高めている。

断熱窓のバリエーション

木製断熱サッシ

木製断熱サッシ
天然木材を使用した断熱窓。木部表面に専用のフッ素系塗料を塗装し、木の風合いを生かしながら耐候性を実現した。「もくまどFc」●旭硝子板ガラスカンパニー

アルミ+樹脂複合サッシ

アルミ+樹脂複合サッシ
室内側に樹脂、室外側にアルミを使用した複合サッシ。アルミの1250倍といわれる樹脂の高い断熱性能を生かした。真冬に手で触れても温かみがある。「シンフォニーマイルド」●トステム

【選び方のポイント3】ガラスの種類、性能によって大きく変わる機能に注目

ガラスはその選び方によって断熱性や防音性、防火性などの性能が大きく変わってくる。
窓ガラスは大きく一般ガラスと高機能ガラスに分けられる。一般ガラスのひとつが、かつての住宅に使われていたフロート板ガラス(単板ガラス)だ。安価だが断熱・防犯などの機能は期待できない。高機能ガラスは文字通り機能を高めたガラスで、板ガラスを数枚組み合わせた合わせガラスや複層ガラス、強化ガラスなどがある。機能もさまざまで、用途に合わせて選ぶことができる。
最近は住宅の高気密・高断熱化が進み、開口部にも断熱性能が求められるようになり、複層ガラスを標準仕様として採用している住宅メーカーも多い。高機能ガラスのもつ機能や性能を生かすことで、遮音・断熱の効果を出したり、安全性や防犯性の高い窓を作ることも。サッシによってはめ込むガラスを指定することも可能だ。

複層ガラス

複層ガラス
ガラスの間に封入した乾燥空気が動かないことで断熱性を高める。1枚のガラスの2倍の断熱性を持ち、結露も防げる

高断熱複層ガラス

高断熱複層ガラス
室内ガラスにコーティングした特殊金属膜が、日射熱を取り入れつつ、室内の暖房エネルギーを反射。断熱効果がより高い

遮熱複層ガラス

遮熱複層ガラス
室外側ガラスにコーティングした特殊金属膜が夏の強い太陽熱を反射、冬は室内の暖房熱を反射する。省エネ効果が高い

【選び方のポイント4】断熱・防犯など目的を明確にして

窓を選ぶときは、断熱性能を高めたいのか、それとも防犯性能を高めたいのか、目的を明確にすることが大切だ。断熱性をより高めるには空気層を多くとった厚めの複層ガラスになるためサッシとの組み合わせも重要なポイントになる。価格はサッシとガラスの機能が上がるほど高くなる。ただ、窓の断熱性が高まると冷暖房効率が上がり、光熱費が抑えられるメリットも。

遮熱複層+防犯ガラス

遮熱複層+防犯ガラス
高い遮熱・断熱性能に加え、万一破損しても、破片が飛散、脱落しにくい。「サンバランスセキュリティ」●旭硝子板ガラスカンパニー

その他の窓材

ガラスとサッシだけでなく、窓には雨戸やシャッターを取り付ける場合も多い。
ここでは、雨戸とシャッターについて選び方のポイントをまとめた。

雨戸・シャッターの基礎知識

窓まわりは美観プラス防犯性能なども求められる
雨戸の機能は防雨、防風、防犯、断熱、防音、プライバシーの確保など。だが、防犯意識が高まっている昨今、雨戸の役割は重要だ。従来の引き違い雨戸に代わって、増えているのがシャッターだ。使わないときは、上部のシャッターケースに収めておけるので、すっきりした外観が保てるのも人気。閉めたまま通風・採光できるタイプもある。

雨戸・シャッターの基礎知識
窓を開けずに内側から開閉できるシンプルな電動シャッター。安全性、防犯性にも配慮している。「イタリヤEZ」●トステム

【選び方のポイント1】雨戸は引き違いかシャッターかそれぞれの長所短所を検討して

従来の引き違いにするかシャッター方式にするか、雨戸を選ぶときは、それぞれの長所と短所を十分検討したい。
引き違い方式は、なによりも安いのがメリット。ただ開閉するときは、室内の窓を開けなければならず、冬は寒い風が入り込んで室温が一気に下がってしまうのがマイナス点だ。一方シャッターは、使わないときは上部のシャッターケースに収めると見た目もすっきり。手動と電動があり、電動の場合は価格は高めだが、室内から開閉できるので寒い冬も室温を下げない。

引き違い雨戸

引き違い雨戸
戸板を戸袋に収納するタイプ。サッシ一体型の新築用と既存の窓に後付けできるリフォーム用がある。戸板はスタンダードなスチール戸板のほか耐風圧、耐衝撃、遮音性を高めた発泡ウレタンを注入したもの、アルミ製のガラリタイプがある●YKK AP

シャッター雨戸

シャッター雨戸
室内から操作できる電動シャッター。全閉時の自動ロック機構と手動で施解錠できる補助ロックで2重の防犯性。下降時の障害物検知装置付き。「ラクフィーナ」●三協立山アルミ

【選び方のポイント2】雨戸を閉めたまま通風・採光をしたいなら、ブラインドタイプを

シャッターにはさまざまな種類があるので、十分検討して選択したい。シャッターは基本的にアルミやスチールの羽根(スラット、ルーバーなど)を上下させて開閉するしくみ。全閉時に窓をぴったり覆うタイプと羽根に通気口を設けて通風と採光ができるタイプ、羽根の開閉を調整して通風・採光が可能なタイプ(ブラインドタイプ)などがある。手動のほか、リモコンやスイッチで操作する電動タイプがあり、価格は一般的に同じサイズならスチールよりアルミ、手動よりも電動が高い。

ブラインドタイプ

ブラインドタイプ
日中はルーバーの角度調節で、光と風を室内に取り込み、夜はルーバーを閉じてシャッターに。外からの視線を気にせずにくつろげる。「サンシャディBS3A」●オイレスECO

ブラインド+折り雨戸

ブラインド+折り雨戸
ブラインドと雨戸のよさをひとつに。折り戸形式なので、戸袋スペースが取れないところでも設置できる。スラットは0°~90°まで自在に開閉でき、全閉状態で通風・採光・日射遮へいが可能。「エコ折り雨戸」●不二サッシ

玄関ドア

玄関は住まいの顔ともいえる存在。
玄関ドアは色やデザインに配慮するとともに開口部としての断熱性・防犯性も考慮して
美しく堅固なドアをつくりたい。

玄関ドアの基礎知識

金属製や木製が主流。その多くが多層構造に
玄関ドアはドア本体とドア枠、ドアノブ(把手)、クローザー、蝶番(ちょうつがい)などで構成されている。いうまでもなく内と外を隔てるもので、住まいの顔でもあるためデザインと同時に断熱性、防犯性を重視したい。素材はアルミやステンレスなどの金属製、木製などがあり、多くは芯に断熱材を挟んだ多層構造になっている。

玄関ドアの基礎知識
本体に硬質ウレタンを充填して断熱効果を高めた玄関ドア。防犯サムターン錠を別売で用意。「ルシエール」●新日軽

【選び方のポイント1】開き戸か引き戸か、使い勝手に合わせて選ぶ

従来の引き違いにするかシャッター方式にするか、雨戸を選ぶときは、それぞれの長所と短所を十分検討したい。
引き違い方式は、なによりも安いのがメリット。ただ開閉するときは、室内の窓を開けなければならず、冬は寒い風が入り込んで室温が一気に下がってしまうのがマイナス点だ。一方シャッターは、使わないときは上部のシャッターケースに収めると見た目もすっきり。手動と電動があり、電動の場合は価格は高めだが、室内から開閉できるので寒い冬も室温を下げない。

押し引きして開けるタイプ

片開き

片開き
左右のいずれかを軸にして開閉する最もオーソドックスなドア。シングルタイプともいわれる。間口や玄関ホールをそれほど広くとる必要がない。ドアノブは主にバータイプとレバータイプになるが、開閉動作がラクなバータイプが増えている。ドア横幅は通常90cm程度。「アヴァントス」10型・片開き・Aプラン●トステム

両開き

両開き
左右対称に開くドア。2枚の片開き扉で構成される。欧米の邸宅によく見られるタイプ。片開きよりも広い間口と玄関ホールが必要になるため、バランスを考えると設置に適しているのは比較的大きな家となる。デザインや素材もグレード感のあるものがそろっている。ドア横幅は主に165~170cm程度。「シンプソン木製ドア」●サンタ通商

親子開き

親子開き
片開きのドアの横に小さな子ドア(袖)がついているタイプ。現在の玄関扉の主流になっている。子ドアは通常固定しておくが、大きな家具の搬入時などに開放すれば、間口を広げることができる。また玄関に窓がない場合、子ドアをガラスのタイプにすることで、玄関ホールの採光を確保することもできる。「フォラード」N11型●トステム

引いて開けるタイプ

片引き

片引き
1枚の戸を左右どちらかに動かして開閉する引き戸。袖部分をガラスにして採光性を高める場合も。引き戸は開け放したときにジャマにならないことや、体が不自由なときでも出入りしやすいことなどから人気が高まり、現在では洋風のデザインも豊富にそろってきている。「優月」●新日軽

両引き

両開き
2枚の戸を左右どちらにも移動させることができる引き戸。玄関内部の奥行きを十分にとれない場合も、間口さえ確保できれば設置が可能。和風建築に一般的なタイプだが、洋風デザインのものや、断熱性能、防犯性能を高めたタイプも増えている。「彩樹」●三協立山アルミ

【選び方のポイント2】断熱性と防犯性をよく検証して

断熱性と防犯性も玄関ドアを選ぶ大きなポイントだ。断熱タイプのドアは内側に硬質ウレタンなどの断熱材を充填し、表面に鋼板を使用した構造。価格は通常のタイプで20万円台からと高めだが、結露やエネルギーロスが防げる。
また、気になるのが防犯対策。最近の玄関ドアは主錠と補助錠のツーロックが当たり前。鍵はどちらの向きでも差し込めるリバーシブルキーが一般的だ。ほかに脱着できるサムターン、暗証番号や指紋で操作するキーなど多彩。十分確認して選びたい。

断熱タイプの玄関ドア

断熱タイプの玄関ドア
断熱パネルと断熱枠を採用して優れた断熱性を実現。室内外の温度差が大きくても結露の発生を大幅に軽減する。「ヴェナートD3仕様」●YKK AP

防犯のための工夫

カギの掛け忘れを色で確認

カギの掛け忘れを色で確認
サムターンはボタンを押すだけで取り外せる。はずした状態でも鍵がかかっているか分かるよう色で表示。赤は開いていて危険。「セキュリティサムターン」●トステム

切り替えできるキーシステム

切り替えできるキーシステム
キーをポケットや鞄の中に入れたまま、ドアに近づくだけで2カ所を施解錠できる。ボタンを1カ所押すだけで、2重ロックを施解錠する方式にも切り替えできる。「タッチ/ノータッチ切替キーシステム」●トステム

住み心地を左右する性能4

冬暖かく夏涼しい快適な家、侵入されない安全な家を考えるなら、窓・ドアの機能面を無視しては語れません。

住み心地を左右する性能4

断熱性・気密性

窓やドアの気密性と断熱性が高いほど、結露や冷暖房のロスを防ぐことができる。気密性を左右するサッシはアルミより木製や樹脂のほうが、熱伝導が低くヒートロスを生じにくい。室内側が木製で外側が樹脂製という製品も。また、引き違い窓より開き窓、すべり出し窓のほうが、高い気密性を保つことができる。一方ガラスは単板より複層ガラスが断熱性に優れている。ドアは内部に硬質発泡ウレタンを充填しているものだと断熱性が高い。もちろん本体が収まる枠部分の断熱性も重要だ。

遮音性

遮音性を高めるためには気密性の高いサッシを選ぶといい。というのは、音波は光よりも波長が長く、隙間から入り込みやすいという性質があるため。ガラスは単板より複層タイプのほうが遮音効果は高い。騒音が気になる立地の場合は2重サッシがより効果的。家の周りが静かな場合、自宅から外に響く音に配慮しておきたい。ピアノなど楽器演奏やホームシアター設置、室内での犬の飼育を検討している場合は、近隣トラブルを避けるためにも万全の対策を。

採光性・通風性

設計上大きな窓がとりづらい箇所は、天井から採光するトップライト(天窓)にすると便利。その際、目的は採光だけなのか、通風性も求めるのかで開閉式にするかどうかを決める。フィックス窓も円形や正方形などさまざまあるので、外観デザインのアクセントに利用してみても。浴室やトイレなど、外部からの視線が気になる場所では曇りガラスを選ぶのが一般的。玄関ドアは、ガラスをはめこむことで採光を確保できるが、その大きさについては防犯性との兼ね合いも考慮したい。

防犯性

侵入されにくい窓にするには、ガラス部分の防犯性を高めることが重要。特に狙われやすい掃き出し窓や腰高窓には防犯合わせガラスを選んでおきたい。サッシはクレセントと枠のサブロックで2重施錠のものを。窓にシャッターを取り付けるのも効果的だ。玄関は主錠と補助錠のツーロックを備えた製品が主流に。毎日の手間を考えるとひとつのキーで二つの錠をロックできるものにしておきたい。侵入手口のひとつであるピッキング対策としては、ディンプルシリンダー錠が人気だ。

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