不動産・住宅サイト SUUMOトップ > > 一戸建て・土地の基礎知識 > 地産・地消のマチ、埼玉生活のススメ
— 3年前、八潮市に転居してきたIさん。古い住宅街でひときわ目新しい外観の一軒家に、夫婦と2人の子どもが暮らす。なんといっても目を引くのは、美しく芝が刈り込まれた広い庭だ。
「庭のある家に住んで、家族で団らんする時間が増えました。親子でボールを蹴ったり、芝をいじったり。最近、家庭菜園も始めたんです」
— 庭の一角にあるお手製の家庭菜園。パプリカやトマト、ナスなど季節の野菜を栽培している。
「始めたきっかけは、息子が通う小学校の農業体験実習に参加したこと。近くの畑を借りて親子でサツマイモを収穫しました。それがとても楽しくて、自宅の庭でも採れたらいいなって」
— 県の小中学校が勧める「緑の学校ファーム」。それは家庭で「食育」に取り組んだり、食の安全を考えるきっかけにもなったという。
「今は地元産の野菜しか買わなくなりました。近所の畑で採れたものなので、新鮮で安心です」
— つくばエクスプレス開業を機に宅地の開発が進む八潮。都心まで20分と便利で若いファミリーの注目を集めているが、周辺には古くからの住宅も多い。
「知らない土地なので近所づきあいは不安でした。でも、住んでみたら皆さんやさしい。隣のおじいちゃんが畑の野菜をおすそ分けしてくれるような、温かいおつきあいが残っているんです。一方で新しい住民も増えているから、近所に子どもがいる家族も多い。子育てで困ったときに助け合えるのが心強いですね」
— 近所に同年代の子どもが多く、親同士も今ではほとんど顔見知り。こうした地域のコミュニティに参加する楽しさは、埼玉に来て初めて実感できたとか。
「ここに来る前は三重県に住んでいました。海が近く、自然に恵まれた良い環境でしたが近所に子どもが少なかったんです。それが今は、子どもがたくさんお友達を呼んできて庭で遊んだり、家族同士で公園に出かけてピクニックしたり。埼玉には子どもが走り回れる大きな公園もたくさんありますし、ここに引越してからのほうが、私も子どもも生き生きと過ごしているように思います」
住宅地のすぐそばに残る自然と地産地消の安全な食は、埼玉生活の大きなメリットといえそうだ。とくに食に関しては、地場産品を扱う直売所やスーパーが今も増え続けていて、新鮮な野菜が近所で手軽に買えるようになっている。
さらに「緑の学校ファーム」や「食育ボランティア」など、家庭と食育をつなぐ県の地道な取り組みは今後も続く。こうした環境は食の意識を変え、家族の健やかな暮らしにもつながるはずだ。
文/榎並紀行 撮影/森カズシゲ