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中古マンションもかつては新築。当時の時代背景や建築関係の法規の影響を受け、そのつくりには築年数による違いが顕著だ。「それぞれの住み心地を、快適・安全・便利の3つの観点から考えると分かりやすいでしょう」(染谷さん)
■新築マンションのレベルは法改正により大きく変わる
環境配慮からマンションもエコの時代に。複層ガラスや断熱サッシ、LED照明、節水型トイレなど省エネ設備の採用が増え、室内の冷暖房効率を高め、光熱費や水道代の節約にも貢献している。共用部では太陽光発電の導入や積極的な緑化も。
東日本大震災の教訓を受け、新築では災害対策が目に見えて充実している。例えば、水や食料、簡易トイレなどを備蓄した防災倉庫や、防火水槽や井戸の水を飲料水にできる浄水装置の設置、停電時に備えた蓄電池や非常用発電機の導入などだ。
非常用発電機。停電時に作動してライフラインや非常灯など最低限の設備を稼働させる(写真提供/SKYZ TOWER & GARDEN)
光ファイバーや住戸内LANなどのネット環境が整っている。セキュリティも、鍵をかざすだけで施錠・解錠できるパッシブキーなど、強固なだけでなくより便利に。コスト面で大規模物件主体だったディスポーザーも一般的になってきた。
タワー物件も地震対策が強化され、地震による揺れを軽減する免震構造や制振構造の採用が増加。非常用発電機などの導入で、停電時でも数時間~数日は給水ポンプやエレベーターが稼働するだけの電力を確保する物件が増えている。
防災備蓄倉庫。タワーでは水や食料を各階に、工具や救急セットを一定階ごとに置く例も
柱や梁をバルコニーや共用廊下側に出す「アウトフレーム工法」の採用が増え、室内の出っ張りがなくなって広く感じられる上、家具配置もしやすい物件が増えた。対面キッチンは吊戸棚がないフルオープンタイプが浸透し、LDKがより開放的に。ワイドスパンなど間取りタイプが多彩になった。性能面ではスラブ厚20㎝が標準になり遮音性が一段と向上。
住戸内の段差解消だけでなく、敷地内もスロープや手すりなどバリアフリー設計へ。発想はさらにユニバーサルデザインへ移行し、エレベーターの操作盤の位置を低くするなど細部に配慮した物件も。
開閉が自在でスペースもとらない引き戸が見直され、リビング続きの居室を引き戸にして開け放てば広い1室として使える間取りや、洗面室での採用が増えた。
住宅性能表示制度がスタートし、マンションの基本性能が強化された時代。床のスラブ厚は18~20㎝以上が標準になり、二重床・二重天井が普及して、遮音性が高く将来のリフォームもしやすい物件が増えた。シックハウス対策で24時間換気設備も義務化されている。また、このころからIHクッキングヒーター採用のオール電化マンションが建てられる。
ピッキング被害の増加で防犯意識が急速に高まり、多重オートロックや防犯カメラの設置が進んだ。
住戸にディンプルキーや二重ロックを採用した物件も多い。
このころから大規模物件が多くなり、ゲストルームやキッズルームなど共用施設も多彩になる。設備では食器洗浄乾燥機が浸透し、ディスポーザーも登場。
玄関から続く廊下を挟んで左右に居室を配する、いわゆる「田の字プラン」が普及。フローリングのLDKをバルコニー側に配するようになり、セミオープンの対面キッチンが人気を集めた。和室に布団の生活からベッドに変わり、主寝室にできる広さの洋室が定着したのもこのころ。一方で、洗面室と浴室の間など配管の都合で室内に段差がある場合も多い。
防犯やプライバシー意識が芽生えて共用玄関にオートロックが導入され始めた。各住戸はシングルキーが一般的。
インターネットが普及し始めた時代とはいえマンションの通信設備は十分ではなく、ネット回線やマルチメディアコンセントなどはほとんどない。水まわりでは浴室換気乾燥機やシャワートイレなどが登場。
くつろぎの場が茶の間だった時代。日当たりのよいバルコニー側に和室や洋室を2室並べて配し、その手前(住戸中央)に壁付けキッチンのDKを置く間取りが一般的で、独立型キッチンもよく見られた。洋室はカーペット敷きが多い。
築年数は耐震性の目安のひとつ。新耐震基準(震度6強程度の大地震でも建物が倒壊しない)と呼ばれる現行の耐震基準は1981年の法改正によるものなので、建築確認がそれ以前※の物件は基準を満たしていない場合もある。売主が耐震診断や耐震補強をしているか確認したい。
※建築確認申請日が1981年6月以前
特に差がつくのは水まわりの設備で、例えば給湯の追い焚き機能やシングルレバーの混合水栓なども一般には望めない。ちなみに、配管のメンテナンス状況は必確認で、修理・交換が必要な場合がある。
築年別の平均価格を見ると、築5年以内の場合、新築との価格差が最も大きいのが埼玉県の709万円、23区はわずかに112万円だ。だが、築6~10年になると1000万円前後の差がつき、築21年以上だと2300万~2600万円と大きく広がる。ちなみに、市場シェアはエリア差はあるが、築11年以上の物件が7割弱~8割を占める。
■東京都23区
■東京市部
■神奈川県
■千葉県
■埼玉県
※¥…平均価格 m2…平均専有面積
データ提供:東京カンテイ(集計期間:2012年9月~2013年8月。専有面積30m2未満の住戸と築1年未満の中古は集計から除外)
マンションを減価償却資産とした法令上の耐用年数は47年だ。これをもとに新築と中古の1年当たりのコストを計算してみよう。下記例では新築と中古で1500万円の価格差があるが、年当たり価格では大差ないことが分かる。
マンション購入では物件価格とは別に右表のような「諸費用」が必要になり、基本的に現金で用意しなければならない。諸費用はローンの種類や借入額に左右されるが、新築と中古でもその内容が異なり、特に下記に挙げる3点に違いが出る。一般に新築の諸費用は物件価格の3~5%、中古は6~8%が目安とされている。
■「新築マンション」と「築15年の中古」の費用比較
新築のみにかかる
修繕積立基金
長期修繕計画に基づいた大規模修繕工事に備えるお金で、入居後に毎月支払う「修繕積立金」とは別に、購入時に「修繕積立基金」としてまとまった額を支払う。
中古のみにかかる
仲介手数料
中古物件の多くは仲介会社が売主と買主の間で意見調整や契約業務の代行を行うので、その報酬として支払う。物件価格の3.15%+6万3000円(税込)が上限。
中古のみにかかる
リフォーム代
中古は水まわり設備や配管の老朽化で修繕や交換が必要な物件があるほか、間取りや内装を好みに変えるなどリフォーム費用がかかる。金額はケースバイケース。
水まわり設備や配管は10~15年で見直しが必要とされており、リフォーム費用も築20年で大きく跳ね上がっている。また、築年数が古いほど間取りも内装も今の時代と違ってくるので、リフォームニーズが増すだろう。
昨今はスケルトンリフォーム(構造躯体のみを残し、間取りも設備も内装もすべて変更する)など大胆なリフォームを前提に中古を買う人も増加。自分らしい家にできるが、その分費用もかかる
※リクルート調べ「2008年首都圏中古マンション契約者動向調査」より
入居後の毎月の出費として「管理費」と「修繕積立金」があるのは新築も中古も同じだが、修繕積立金は築年数が古いほど高くなる傾向にあるため、中古のほうが当初から割高になる可能性が高い。また、新築の場合は建物部分の固定資産税が当初5年間半額になる軽減措置が適用される。中古でも築5年までの間はこの措置の適用範囲内。
■新築と中古の費用比較
※1 2012年首都圏新築マンション契約者動向調査
※2 2008年首都圏中古マンション契約者動向調査
新築と中古は物件の探し方や見学方法にも違いがある。一般に新築は情報が得やすく、物件ごとの情報も豊富。対する中古は実物が見られるのがメリットだが、売主が居住中の場合もある。
新築か中古か、また中古にも築年数による特徴があるので、物件ごとに比べてみるのが正解。基準はやはり、新居でどんな暮らしがしたいかだろう。したい暮らしをイメージして、まずは物件見学を。
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