システムバスの基礎知識

09年08月19日
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内装パーツや設備がユニット化され現場で組み立てる

システムバスは、床、浴槽、天井、壁などのパーツをあらかじめ工場で成型してユニット化し、それを現場に運んで組み立ててつくる浴室のこと。職人の手と技術でつくる在来工法の浴室と違い、工場生産品なので品質や仕上がりが均一で安定し、工事期間は3日前後で完成する。保温性や防水性も高く、階上に浴室をつくる場合にも適する。

床、壁、天井材、浴槽、扉、水栓金具、照明器具、収納などが、セットになっているのがシステムバス●INAX・トステム
規格サイズの中からわが家にふさわしいタイプを決める

システムバスのサイズは床面積のことをさし、戸建住宅用の製品は主に0.75坪、1坪、1.25坪の3種類がある。1坪タイプが主流だが、1.25坪タイプを取り入れる家庭も増えてきているのが最近の傾向。

サイズは左の図の通りで、室内の有効寸法は、1坪タイプが160×160cm~、1.25坪タイプが200×160cm~。つまり1.25坪タイプは1坪タイプと比べ、浴槽の幅は変わらないが、洗い場が40cmほど広くなる。子どもと一緒に並んで座ったり、入浴介助が必要な家族のいる家庭では、1.25坪のほうが入りやすい。1坪タイプでも出窓や高さのあるドーム型天井を採用すれば、広々した感じが得られる。予算や浴室にさけるスペースはもちろん、わが家ではどんな入浴のしかたをしたいのかを考えて選ぶようにする。 

システムバスは防水性に優れた構造のため、水漏れによって土台や柱を傷める心配がなく、2階以上の階に浴室をつくる場合にも最適。その際は、階層用の商品を利用する。1階用との違いは天井がやや低く、あるいは床下に埋め込み部分がとれないため、浴槽のまたぎが高いものがあることを覚えておこう。

システムバスのサイズ

【1坪タイプの例】リゾート感覚を楽しめるバスルーム。カウンターの中にタッチ水栓を埋め込み、凹凸のないすっきりしたラインが特徴●TOTO

【1.25坪タイプの例】洗い場が広く、よりゆったりと入浴できる。3種類の水流を楽しめるシャワーバーを搭載し、爽快なくつろぎ感を得られる●TOTO
安全性や手入れのしやすさなどの基本性能をチェックしておく

"浴室は高齢者だけでなく、家族のだれにとっても安全なつくりになっていることが大切。最近のシステムバスはバリアフリー仕様が一般的になっているが、その基本的な内容をチェックしておきたい。

例えば、脱衣室との床面の段差は小さく、床面には滑りにくい模様を施し、浴槽や洗い場周辺には手すりを設置。浴槽のまたぎの高さは42cm前後と低めで、いったん座ってから浴槽に出入りできるように縁が広くとられている。半身浴のために、内部に一段高い座れる部分を設けた浴槽も。洗い場のカウンターは、一部が洗面器を置けるスペースに。温度差を解消するため冷たさを感じにくい床材を採用したり、専用の床暖房を設置できる商品もある。
掃除の手間を考えると、清掃性もポイントだ。排水口は1カ所で髪の毛などを除きやすく、床は特殊な表面形状により水はけがよく乾きやすい。壁はパネル状で、スポンジで拭くだけできれいになる、というのが標準的な仕様になっている。

【断熱構造の浴槽】二重の断熱構造の採用により、6時間後の温度低下は2度ほど。帰宅が遅くなっても、すぐに温かいお風呂に入れるうえ、省エネにもつながる●TOTO

【水はけのよい床】表面のパターンが水の流れを誘導し、床の乾きが早い。足裏にソフトで冷たい感触がなく、ひざをついても痛くない●TOTO

【通常の床】

【掃除のしやすい排水口】浴槽の残り湯を利用し排水トラップ内にうず流を発生させ、そのうずの力で汚れを付きにくく、髪やゴミをまとめて捨てやすくする●INAX
好みの空間ができるか、デザイン性もポイント

デザイン性も気になるところ。色や柄などをどの程度選べ、自分の好みの空間がつくれるのかを確認したい。一般的には、浴室全体は白かグレー、ベージュ系の色調がベースで、壁は無地か石目柄、木調、あるいは無地と柄のコンビネーションなどのバリエーションがある。浴槽は人造大理石やFRPなどの樹脂素材で、ピンクやブルー、グリーンなどのきれいな色が用意されている。天井はフラット型のほかに高さのあるドーム型も。窓は出窓や、テラスや庭に面し大きな開口部をとれるものもある。

【カラーバリエーション】人造大理石の浴槽とカウンター、ホーローの壁と浴槽側面のエプロンは色、柄を選べる●タカラスタンダード
価格設定のシステムを知り、予算に応じた選択を

以上のような内容を備え、各社とも1坪タイプでは約100万円強の価格設定になっている。これをベースに、内装パーツや浴槽の素材をグレードアップしたり、浴室暖房乾燥機やジェット噴流バスを加えるなどの変更も可能。その際の価格差はカタログに明記されており、予算を踏まえて選ぶようにする。

文/川成亜紀
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