住活成功のカギはズバリ、「夫婦の意思決定力」にある。夫婦の意思決定力とは何かというと、「夫婦の意思をうまくまとめて、決定打を打つ力」のこと。住宅を購入「できた人」の多くが「夫婦の意見がまとまったこと」が購入決定の決め手になったというデータがあるのだ(SUUMO編集部調べ※1)。夫婦間の意思疎通が住活成功の秘訣というわけ。
もうひとつ注目すべきは、「物件購入にもっとも影響力のある人(右グラフ※2)」。購入前や検討中の人よりも、購入を決めた人は男女とも「夫の影響力が強い」と答えているのである。住宅購入、最後の砦は夫にあるようだ。夫に「うん、と言わせれば勝ち」とも言える。最後は「あなたに任せるわ」と言いつつ、自分の理想を叶えられるよう、夫を仕向けていくのが住活のテクニックなのかも!?
では、夫に気持ち良く「うん」と言ってもらえて、妻も満足できる「夫婦円満の家探し」を実現するにはどうしたらいいのだろうか?
その秘訣は「夫婦の得意分野を知ること」というのは、スーモカウンター注文住宅で、500組以上の相談に応じてきた住活のプロ、梶井丈史さんだ。
梶井さんによれば、最終的な決定を下すのは夫である場合が多いが、物件へのこだわりが強いのはむしろ妻のほうなのだとか。
梶井さん:「一般的に、妻の方が家にいる時間が長いですよね? だから、間取りや日当たりなど、物件への条件が厳しいんですね。また、普段の買い物に便利なことや、公園や学校など、子育てに適した環境があるかどうかにまで気を配るのは、妻ならではでしょう。
例えば、同じ『駅徒歩15分』でも、夫は『15分、遠いかな?』としか考えませんが、妻は『歩いている間にスーパーがあるから便利ね』ということまで気がつきます。細かいところに気がつくのはいいことですが、条件が厳しくなりすぎて、決められなくなっちゃう方も多いですね…」
どうやら妻だけで「コレだ!」と決定打を打てない理由には、「鋭い観察力」や「細かい配慮」ゆえに条件が厳しくなってしまうことにあるらしい。「婚活」中の女性とちょっと似てるかも…。
一方、夫のほうはどうだろう? 夫にも何か傾向はあるのだろうか?
梶井さん:「夫の場合、建物自体へのこだわりがあまりない人が多く、条件も漠然としがちです。『通勤が楽だといいな』とは思っていても、なんとなくボンヤリしたまま、購入に向けて前進できないんですね。
その代わり、ビジネスライクに物事を考えるのが得意な人が多いのでしょう。エリアや価格などの条件が決まってくると速いですよ。条件の整理や相場情報の収集も、夫の得意分野と言えますね」
目的がバッチリ決まれば、ビジネスのようにテキパキとこなせるのが夫。このビジネスライクな「仕事脳」があとあと決定打を打つカナメになるのである。
梶井さん:「もちろん夫婦によって得意分野が違うこともあるでしょう。でも、大事なのは、まず『お互いの得意分野をよく知る』こと。それが『夫婦の意思決定力』を高める最大のポイントです。また、得意分野だけでなく、苦手な部分を補い合うのも大切ですね。
最後の決定打を打つのは夫である場合が多いものです。だから、妻もどんどん意見を言って、決定打を放つアシストするといいですね。夫は『妻の理想を叶えたい』という思いもありますから、妻のワガママは結構受け入れてくれるものですよ」
妻によるアシストがあって、夫が最終的な決定をくだす。パスをつないでシュートを打つという、サッカーみたいなチームワークが大事なのだ。
≫次のページでは「住活成功のカギを握る、具体的な戦術」をご紹介します。
データ出典
※1)全国で、住宅購入を思い立ってから6カ月以上経過している住宅購入検討者206名と、6カ月以内に購入(時期は5年以内)した住宅購入者206名(いずれも20~49歳の男女)にインターネット調査を実施。2010年3月調べ。
※2)首都圏・関西で、1年以内の住宅購入者・1年以内に住宅購入を検討している人800名を対象にインターネット調査を実施。2010年3月~4月調べ。